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視覚障害者とのコラボレーション

NVDAミートアップ東京の企画・運営を通じて、視覚障害者とのコラボレーションが必要となっています。

視覚障害者にとってIT技術は素晴らしい物で非常に活用されています。特にメールは革命的なツールで、私信を自分一人で扱えるものです。しかし、Webサービスにはスクリーンリーダの使用を前提としていないものが数多く存在しており、「使えるツール」と「頑張って使うツール」や「使えないツール」に分けられます。

ツール事の分類

メールクライアント

多くの視覚障害者がメールを使ったコミュニケーションをしています。ほとんどの方が「Thunderbird」や「Outlook」などのメールクライアントを使っています。スクリーンリーダ専用のメールクライアントが発売されているケースもあります。

NVDAでは、「Thunderbird」をサポートしており、多くのユーザが使っています。今後は、「Outlook」の対応強化なども行われるようです。

残念ながらGmailは、さほど使われていません。多くのスクリーンリーダが、JavaScriptベースのWebシステムを苦手にしており、Gmailは敬遠されてきました。しかし、NVDA + Firefoxでは、「NVDA+Gmail+Firefox Shortcut Keys」のビデオ(英語)のようにGmailを使うことが可能です。

Web ECサイト

多くのECサイトがスクリーンリーダで使うのが難しいという現状があります。しかし、視覚障害者にとってECサイトは、お店に行くよりも効率的に買い物ができ、比較もし易いといいます。

スクリーンリーダ側がECサイトを使えるように対応するというケースも多く存在しています。

Webサイトの作り手の方で気を使うことでもっと利便性が上がると思います。今後に期待したいところです。

Web 申し込みフォーム

フォームにラベルが適切に付けられていれば問題なく使えます。しかし、submitボタンに適切なラベルが付いていないことも多く存在し、「ボタン」と読み上げてしまい、何がされるのか分からないといったことがあります。

ロボット防止で使われている、「CAPTCHA」ですが、これで悩まされているユーザは多くいます。Google の 「reCAPTCHA」には音声ボタンが付いていたり、最新のAPIではクリックだけでロボットではないことを判断してくれる物があり、期待できる技術だと思います。

オフィスツール

文書作成、表計算などのオフィスツールへのサポートも重要な機能の一つです。NVDAでは、LibreOffieceの対応を行っていますが、バージョンごとの相性があり対応が微妙になっています。

また、表計算ツールが描画する、グラフをどのように音で表現するかなど難しい課題もあります。

読書ツール

紙の本に比べ、電子版の書籍は圧倒的な優位性があります。点訳されるまで読めなかったものが、電子版の出版とともに同時に読むことができる画期的なツールです。

しかし、DRMが付いている書籍は読むツールが限られたり、ツールによってはスクリーンリーダが対応していないなど問題は存在しているようです。

チャットツール

メールでのコミュニケーションに限界を感じていることから、チャットツールの存在意義が上がっていると思います。

当社では、数年前から「ChatWork」を導入して、社内の普段のやり取りはチャットで行っています。

OSS系のコミュニティでは、「Slack」が大人気チャットツールになっていると思います。企業で導入されているケースも多く存在するようです。

Slackはエンジニア層に多く支持されているようですが、ChatWorkの方が日本人の非エンジニアには使いやすいと感じています。

さらに、音声でのやり取りにはSkypeが多く使われています。Skype OUTなどを使っているケースも多いようです。

視覚障害者で、スクリーンリーダユーザの方に話を聞いたところ、普段から使っているという方は少ないようですが、Slackは問題なく使えるそうです。ChatWorkの方も最近はある程度使えるものになっているとの情報をもらい、視覚障害者のいる2グループのやり取りで使い始めています。

ケータイ電話やスマートフォン

なんといっても、らくらくホンを使っている人が圧倒的に多かったです。電話だけではなくメールの読み上げや、地図ナビゲーションなど、非常に使いやすいものだったそうです。

現在は iPhone を使う人が多くなった印象です。iOSにはボイスオーバーというツールが内蔵されていて、問題なくスマホが使えるそうです。視覚障害者が同じツールを使える喜びなど感動した話をよく聞きます。

Androidを使う人も増えているという話も聞きました。

イベント運営で使えるツール

NVDAミートアップ東京のようなイベントを開催する上で、参加者側と運営者側両方で使いやすいツールが必要となります。今回のイベントで使ったツールを紹介するとともに、なぜこれを使ったかや導入の障壁などを記載します。

申込サイト

以前は、Google DriveのForm機能を使っていました。しかし、フォームに申し込んでも確認メールが飛ばないなど不便な点を感じていました。

今回のNVDAミートアップ東京では、connpassを使いました。connpassは、私が関連しているPyCon JPPython mini hack a thonでも使用していますし、なんといっても開発運営会社を知っているという点で使いやすいサービスになっています。

今回connpassを採用するに当たり、他のサービスも調べました。具体的には別のイベントで使用実績があった、Peatixです。

この2つのサービスをスクリーンリーダで確認をしていただいたところ、「どちらも問題ない」という答えと、「connpassの方がボタンのラベルがしっかりしていて使いやすい」という意見をいただきました。

私が使い慣れている、connpassで問題ないという意見だったので、こちらで進めることにしました。

ただ、Webサービスでの申込に慣れていない参加者もいるという想定のもと、メールでの受付も行いました。結果、参加や30名中6〜7名はメールでの申し込みとなりました。

連絡用手段

メールでのやり取りでは、相談や連絡事項がスムーズに行えないことが多くあります。

NVDAミートアップ東京では、2つのツールを使いました。

  • Skype 音声でのグループミーティング
  • ChatWork 普段の連絡・相談など

Skypeは、スクリーンリーダユーザ間でもよく使われているため違和感なく使えました。ChatWorkはなれるまで苦労が多かったようです。

チャット部屋に入る明確な操作が無いことや、ラベルが入っていないチェックボックス、入力ボックスの上に投稿ボタンがあるなど、多少の問題はあるようです。

しかし、メールでのやり取りに比べ、スムーズなやり取りが行われたのが良かったです。

タスク管理やドキュメンテーション

Google Driveは、敷居の高いツールです。また多くのチケットシステムも一般的に使うのが難しいツールになっています。

今回は、特別なツールを決めて共同作業を行いませんでしたが、今後は何かしらを導入してく必要があると思っています。

まとめ

ユニバーサルデザインとして各ツールが、誰でもが使えるツールになってくれると良いと思っています。その為にも、何が必要で、どのようなものが効果があるかを知る必要があると思います。

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